弟子

更新日:2005/12/29

 

TOTAL-Tの弟子について・・・

 

TOTAL-Tの弟子ストーリーは2002年より始まりました。
いきなり「TOTAL-Tの弟子にして下さい!」と言われて、私は唖然としました。
私は”弟子と師匠”という言葉自体に堅苦しく重いイメージを持っていたので、自分が師匠の立場になるなんてとんでもないことだったのです。
しかし、熱心に弟子入り希望をしてきたUMIちゃんの姿を見て、これも自分に与わったものかな?と思い、UMIちゃんを初弟子として受け入れることとしたのです。

その後は弟子入り希望者は後を絶たず、入れ替わり立ち代りの現在に至ります。

弟子と言えば、少なくとも5年〜10年くらいは師匠の元で奉公し、独立後も師匠を立てながらやっていくというような私の個人的なイメージがあったのですが、そのやり方では現代の若者には厳しすぎてなかなか通用しないであろうと考え、昔と比べればすごく甘いとわかりつつも、現代風の新しい弟子と師匠の関係を新たに築いていこうと私は考えました。

私はエアーブラシの技術を覚えるのに10年以上もかかってしまったのですが、もしも、ちゃんと教えてくれる先生に恵まれていたならエアーブラシの技術を覚えるのに2年とかからなかったと思います。エアーブラシが出来るようになると、「スゴイね!」とまわりから言われたりするわけですが、エアーブラシを操る技術はそんなに難しいものではなくて結構簡単なものだと私はやっていくうちに気がつきました。それなのに世の中の人の多くはエアーブラシを操ることを難しく考え、やっている人はスゴイ人と思われがちなのが今の現状です。
ある意味エアーブラシの技術は、”穴”なのです。

現在では私の様にエアーブラシの技術を人に教えているところも増えてきたので、そこを上手く利用すれば技術の習得も早くなるのは当然のことです。しかし、教えているところはビジネスとして捉えているところがほとんどで、エアーブラシを操る技術がたとえ簡単なものであったとしても、それぞれの先生は苦労をしながら身に付けた技術であるので、ビジネスに繋がるものなら繋げたい、稼げるものなら稼ぎたいと考えるのも当然なこと、ビジネスとして人に教えていることの中には受講料があるから先生と生徒の関係が成り立っているわけで、受講料がなければビジネスとしても成り立ちません。学ぶ生徒と教える先生、需要と供給のバランスもとれていないとうまくはいきません。ちなみに受講料はところによって様々で無料〜数百万までビックリするほどに開きがあります。教え方もところによって様々、どこでも教え方は同じであろうと考えている人は、そのあたりをよく注意して学び先を選択する必要があると思います。学び先が異なれば行く末も大きく変わってくるだろうと私は考えており、その教えることをしているTOTAL-Tとしても実は責任重大なのです。
ちなみに現在のところ、エアーブラシを教えているところの多くは、あらかじめ施した下書きを頼りにいかに上手く塗り絵をしていくか?という教えをしているところがほとんどで、エアーブラシ本来の良さを引き出した下書きを頼りにしないやり方で教えているところは全国的にみてもほんの一握りというのが現状です。TOTAL-Tの教え方は後者の方なのですが、エアーブラシを活用すれば下書きに頼ること無しに誰でも上手な絵を描いていくことが可能!と教えさせてもらっています。絵を描いていく本来の喜びや醍醐味もそこにある!と力説をしながら学びに来る人に教えています。力説しなくてはいけないのは、難しいからではなくて、エアーブラシを使えば下書き無しで描けて当たり前!絵を描く喜びや醍醐味もそこにある!しかし他のところでは違う教え方・・・という私の個人的な歯がゆい気持ちが強くあるのからなのかもしれません。最初は何も知らなかった私も当然のように下書きを頼りに描いていくことをしていましたが、絵を描いているうちに段々とその行為が恥ずかしく思うようになってきました。プロとしてやっている人のほとんどは下書きに頼らなくてもスラスラと絵が描けているのだから・・・と自分勝手に想像し、この先絵の描けない自分はどうしていやっていけば良いのだろう・・・と悩む日々が続きました。そんな悩む日々の中、エアーブラシのことをいろいろと考えていくうちに、下書きをしなくても上手に描けていくのがエアーブラシの良さ、絵を描くときの下書き作業は自分の中での固定観念だった!ということに気が付きました。下書きや型を頼りに絵を描いていくのではなく、何もないところからエアーブラシの良さを引き出しながら絵を描いていければ、喜びや達成感も倍増するはず!オリジナル作品へも進んでいけるのでは?と考えることが出来たのです。人に教えるにしても、エアーブラシの扱い方と塗り絵の仕方を教える先生ではなく、絵を描くことの喜びや醍醐味、奥深さも同時に教えることが出来る先生になれればと考えるようになってきました。それから絵を描くときに下書きを頼りにしていた自分から抜け出すことに努力してしていったわけですが非常に辛いものがありました。やっていったことは絵のことを本を読む等して普通に勉強していっただけなのですが、辛かった訳は他にありました。「あの人は絵が上手な人」と、すでに騒がれていたからなのです。「下書きがないと私は上手な絵が描けないんです!」という宣言も出来ない中での絵の勉強であったからなのです。これからエアーブラシをやっていく人にそんな辛い目に合わせたくはない!と考え、私が現在教えていく中ではエアーブラシの本来の特徴をフルに活用した絵の描き方を最初から教えています。「下書きに頼る描き方は誰にでも出来るから、家に帰ってからでも十分にやれるよ!」 「下書きに頼る絵の描き方を一旦覚えると、そこから抜け出すときに苦労するよ!」 「エアーブラシを使えば下書きが無くても上手に絵を描いていくことが出来るから大丈夫!絵心も自然に芽生えてくる!」と教えています。結果は現状の通りであって、教室の様子等を見てもらえばわかって頂けると思います。楽しみながらマイペースで学んでいって下さい!と私がよく口にするのも、エアーブラシにはいろいろな奥深さがあるから楽しいのであって、簡単に済むものであればすぐに飽きてしまい、長続きはしないと考えているからです。

私にとって、「この人こそ立派なエアーブラシアーティスト!」と尊敬出来る人は少ない状態で、自分自身がまだまだ勉強しなければいけない状態であり、最近ようやく絵心も芽生えてきたかな?という感じです。
近頃になって思うことなのですが、エアーブラシペインターの多くがまだまだ未熟・・・エアーブラシの扱いや塗り絵の仕方が少々上手いだけ。「私はアーティスト」と自分から言う人もいますが、そんな人ほどに疑問を感じてしまうことが多いです。下書きに頼って作品を描いて”アーティスト気取り”をしているようでは”本物のアーティスト”の足元にも及ばないと思うのです。模写を専門にしていくアーティストとしてなら人から認められるかとも少し考えましたが、模写をしている以上その元が存在するわけであって、元になるものが有名キャラクターや有名人の写真等であるなら、なおさらそれに頼って仕事をしているだけでしかないと思うのです。堂々と自分のオリジナル作品を出している人は別として、少々エアーブラシを使って上手に絵が描けているからといってアーティスト面をしているようでは、本物のアーティストに対し大変失礼なことだと私は思います。個人的な趣味の中での”アーティスト気取り”ならまだしも、仕事として自らアーティストと言っているのであれば、模写とかではなくこれぞ自分で考えたオリジナル作品というものを武器にしていく必要性があると思います。

”本物のアーティスト”からよく耳にすることなのですが、「誰でも模写から入る!」という言葉・・・その言葉を思い出すと、今やっていることは間違っていないことと少し安心感を持つことができますが、それに甘えていてもいけないと思っています。
模写から始まっていくのであれば、むしろその模写を極めなければ・・・、と思うようになり、極めるためには絵を描くことに難易度を高く感じる人物画、誰もが知っている人物の模写をしていけば良くも悪くも評価も受けやすい!と考えるようになっていきました。
人に教えることを始めたのにも狙いがあったためで、先生をしていけば恥もかけないだろうから、強制的に自ら勉強するようになるだろう・・・という考えでスタートしたのです。
いつ自分を上回る人が習いに来て「あなたが教える技術はたいしたこと無い!先生としては認められない!」と言われるかと始めた当初は不安感もありましたが、今のところはそういった問題もなく、学びに来る人すべてにおいて順調に教えることが出来ています。

私はまだまだ勉強中の身、教室の先生をしたり、弟子をとって師匠面をしているどころではないと思っておりますが、学びに来る人や弟子入り希望者は後を絶たず・・・。エアーブラシはこれから先もっと伸びていく分野だと思っていますが、エアーブラシを仕事として生計を立てていくには厳しいものがあることはまぎれもない事実、アーティストとして生計をたてていくには尚のこと厳しいものがあると思っております。そんな状態であってもエアーブラシ作品に触れたいという人やエアーブラシをやってみたい、仕事としてやっていきたいという人は近年急激に増えています。需要があるということは供給が必要です。私はエアーブラシのことを教える先生が現在不足と感じています。絵のことをちゃんと教えてくれる先生も不足と感じています。まだまだ勉強不足と感じている自分ではあるが、ついてくる人がいるんだから、その皆と協力しあいながら努力していくことによって、いつかは報われるだろうと考えております。お金を払ってでもエアーブラシ作品を求めてくる人には深く感謝し良い作品を納めることに努力し、お金を払ってでも技術を習得したい人へも同様に感謝の気持ちで誠心誠意教えるようにしています。関わってくる人に喜ばれながら、自分もやりがいを感じながら、一生の間続けていける仕事がエアーブラシと私は思っています。
エアーブラシの世界をもっと良くしていきたい・・・、本物の”アーティスト”にもなってみたい・・・、関わってくる人達を幸せにしたい・・・、自分も幸せになりたい・・・、そうなるにはやるべきことがたくさん浮き出てまいりました。自分一人の力だけでは到底無理、関わっていく人達と共にがんばっていくことが必要であり、弟子ともなればなおさら筆頭としてがんばっていってほしいと思っております。

弟子入り希望者にここで伝えたいことは、安易な気持ちや甘えた気持ちで希望するなら弟子として受け付けられないので、その点は理解願いたいということです。
決して安易な気持ちで弟子入り希望をしてくるのではないと思っておりますが、私がここで念をおすようにしていろいろと言っているのはそれなりの訳やこれまでの経過があるからなのです。

弟子と師匠の関係になった場合、弟子が師匠に技術を学ぶための受講料を支払うというようなことはありませんが、そのかわりに身体でもって奉公する義務があると思います。同時に師匠は弟子を一人前まで育てていくという義務があると思います。しかし、残念ながら今のところ私の想い描くような理想の弟子と師匠の関係は未だに築くことが出来ていない状態で、弟子入り希望をしてくる人の多くは、TOTAL-Tに弟子入りすればしばらくで技術が習得出来る、TOTAL-Tを出た後はエアーブラシを仕事として十分にやっていけるだろう・・・という少々甘い気持ちでの入門のためにか、出た後の様子を伺えば仕事としてなかなかうまくやっていけていないという現実話があります。弟子本人が卒業時期を自分から決めて卒業していくケースがほとんどで、私のGOサインを受けての卒業者はまだ一人もいないのが現状です。
TOTAL-Tの弟子入りを考えている人へ忠告をしたいのですが、ある程度の技術を覚えることが出来たからTOTAL-Tの弟子を卒業するのではなく、「そろそろ独立したらどうだ!?今後も協力し合ってやっていこう!」と師匠に言われてから卒業していくような弟子がベストと思っています。
私もまだまだ甘い考え方で弟子に接しているためになかなかうまくいかないのだと反省している次第なのですが、単にやさしくて楽しい師匠と思われるよりも、少々厳しくても立派に弟子を一人前にさせる力をもった師匠でありたいのと同時に自己作品の排出も立派に果たしていくアーティストを目指していきたいと思っております。それがすぐに達成出来ないこととしても、そんな気持ちをお互いに理解しあいながら、向上していける弟子と師匠の関係でありたいと思っています。

弟子が上がれば師匠も上がる、師匠があがれば弟子も上がる、良くも悪くも弟子と師匠は一心同体、弟子と師匠の関係は一生続いていくのだから・・・といったような考えを持てる弟子入り希望者を私は望んでいます。明るく楽しい中にも真面目で信頼し合える関係を保ち、互いに向上していける関係を築き上げていきたいと思っています。

近頃は弟子入り希望をしてくる人が多くなってまいりました。TOTAL-Tの現状を言うと、学びに来る弟子は増えるが、収益は以前と変わらず、食事代や経費ばかりががかさんでいる・・・このままではヤバイ!といった状態です。弟子希望者を拒まず受け入れ続けたなら、TOTAL-Tはそのうち潰れてしまうことでしょう。私のやっていることがすべての責任だとは思いますが、これからの弟子入り希望者への引き締めと、自分自身への引き締め、同時に他の皆さんへもTOTAL-Tについての理解を頂きたいと思い、このような文を書いてみました。長々と読んでいただいてありがとうございました。

2005年12月24日 TOTAL-T  竹島敏也